赤穂八幡宮秋の祭礼に奉納する謡曲について

記事編集:尾崎を語る会会員


赤穂八幡宮秋の祭礼に奉納する謡曲について
(観世流 謡本 弓八幡より)

亀井 勝美

◎はじめに

赤穂八幡宮秋の大祭には、最初の行事として謡曲 弓八幡 を奉納します。続いて頭人や鼻高・獅子・御輿・屋台等の宮出しになります。

今は11時半から12時まで本殿にて謡を奉納していますが、昔は大鳥居前の広場にだんじり(楽車)を据えてその上で奉納したそうです。
謡は、弓八幡の中程の部分で、八幡宮の神託を伝える為に現れた高良の神(八幡宮の末社の神で武内宿禰の神霊)が、老翁の姿となって現れて天下泰平の祝福を神から朝廷への献上として袋に納めた弓をかたげ持って、御宇多院の臣下に三韓征伐の事や八幡宮の由来などを語った後、実は、八幡宮の神託を伝える為に現れた高良の神であると云って消え失せた。とのくだりを奉納しています。

◎謡 弓八幡
【シテ】
 然るに神功皇后。三韓を鎮め給ひしより
【地】
 同じく応神天皇の御聖運。御在位も久し国富み民も。ゆたかに治まる天が下。今に絶えせぬ。御調とかや上雲上の月卿より。下万民に至るまで楽しみの声尽きもせず。然りとは申せども。君を守りの御恵み尚も深き故により。欽明天皇の御宇かとよ。豊前の国。宇佐の郡。蓮台寺の麓に。八幡宮と現れ。八重旗雲をしるにて。洛陽の。南の山高み。曇らぬ御代を守らんとて。石清水いさぎよき。霊社と現じ給へり。されば神功皇后。異国退治の御為に。九州四王寺の峯に於いて七箇日の御神拝。例も今は久方の天の岩戸の神遊。群れ居て謡うや榊葉の。青和幣白和幣とりどりなりし神霊を

【シテ】
 遷すや神代の跡直に
【地】
 今も道ある祭事。普しや神蘇の。をかたまの木の枝に。黄金の鈴を結びつけてちはやぶる神遊。七日七夜の御神拝実に天も納受し。地神も感応の海山。治まる御代に立ちかへり。国土を守り給ふなる。八幡三所の神託ぞめでたかりける

◎謡 尾崎祭祝言
【シテ】
 さいやりやさいやり
【地】
 八千ほこ神のますまで岩を限りのさいやり。岩を限りのさいやり。
【シテ】
 鶴千歳の齢を経
【地】
 丹頂と等しく松と等しく栄えん松と等しく栄えん

(22.5.26発表)

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